築11年の木造住宅改修事例です。
既存建物は、弊社がまだ個人事務所の頃に設計監理をさせていただいた物件です。
建築場所:埼玉県加須市
敷地面積:188㎡
延床面積:121㎡
構造規模:木造2F
~リフォームの経緯~
新築当時はまだ抱っこされていた赤ちゃんが早や中学生にご成長され、下には小学生のお子様2人と計3人の子宝に恵まれて、賑やかなご家庭になりました。 当初はお子様は2人かな、とのお話で新築しましたので、用意していた子供部屋では足りない!という事態になってしまいました。 思い通りには進まないのが人生です(笑)。 上のお子様がそろそろ個室が欲しくなる頃合いですので、これを機会にあちらこちらに手を加えようという事で再び当方にお声掛けをいただきました。
~設計のこと~
既存の子供室はあらかじめ2室に分ける想定で設計していました。間仕切り壁を設置するだけで照明や収納がそれぞれで使えるよう工夫していましたので大きな工事ではなかったのですが、お子様の成長に合わせて色々とモノも増えてきます。そこで、間仕切りに加えて新規に造作収納も設置する事にしました。2室に分けることで狭くなる分、上下セパレート型にして空間の圧迫感を和らげています。
また、上記の他に既存和室を子供室に改修しました。畳をムクフローリングに張り替え、こちらにも造作収納を追加しました。
既存のドアや造作材は木製ですので、経年により味のある艶がでていました。新たな材料をその色に合わせるとなると着色塗装する事になりますが、新たな材料も時間の経過とともに同じように艶が出てきますし、新旧の素材のコントラストも時の流れが感じられて良いものです。そこで、今回付け加えた材料も新築当時の自然な木の色合いと同じにしました。
その他に納戸や物干し場を増築しました。時期的には少し早めですが屋根・外壁の塗装も更新する事になりました。 外部廻りでは、せっかくの塗装直しですから雰囲気も変えてみましょうと、外装カラーシミュレーションを行いました。 落ち着きのあるモスグリーンを基調として、既存サッシのホワイトをアクセントにしています。
~施工のこと~
今回の工事も新築時の工務店で施工していただきました。11年経っても新築当時の内容を覚えていただいていましたので安心でした。 お客様が日除け用ににブドウ棚をお作りになっていましたので、外壁塗装時には足場にうまく抱き合わせてご対処いただきました。 玄関ドアの塗装時には、傷んだ金物を監督自らヤスリ掛けして下さるなど、細かい部分での気配りが嬉しかったです。
住まいにはご家族の成長とともに過ぎ去った時間が刻み込まれて残っています。
全てを刷新するのではなく、古い部分を残しながら新しい器を考えるという方法も良いものです。
過去の思い出は途切れることなくこれからの生活にもつながり、また今回加えた部分も少しづつ新しい生活に馴染んでいきますように。