築32年の住居ビル改修事例です。
既存建物は、1階を店舗、2・3階を住宅として利用している重量鉄骨造です。建築場所:埼玉県さいたま市
敷地面積:136㎡
延床面積:344㎡
構造規模:鉄骨造3F
~リフォームの経緯~
こちらのリフォームは、親子世帯の同居開始前に建物に手を加えたい、というきっかけで始まりました。 同居となると、水回りも含めて間取り上の問題がありますし、築年数も相当に経過していることから建築・設備ともに経年劣化が進んでいましたので、それらの更新も含めた計画です。また、昔の建物、特にビル系の建物では、元々が住宅と言えども断熱への配慮が無い場合が多く、こちらの建物でも暑さ・寒さの解消が必要でした。
~設計のこと~
1981年に耐震設計法が変わりましたが、この建物はその直前に建築されたものです。耐震的に問題がありそうな建物の場合は、構造に手を加える必要がありますので調査や工事費用がかさみますが、こちらの建物は整形な構造フレームで、設計前の調査でも建物内外に目だった亀裂や変形も無く、一部解体調査も行って構造に問題がないことを確かめた上で、既存躯体をそのまま利用する方針で設計を進めることになりました。
間取りの変更や設備配管の更新、また断熱性能も確保する必要があるため、内部は下地から新規に作り直すことになりましたが、親世帯では既存の家具や建具など、思い出があって劣化の少ない部材は再利用することにしました。また、新たに設ける同居エリアでは、既存の外壁開口部を利用して外壁に手を加えずに間取りを計画することも、コストを抑える工夫の一つでした。改修の場合は新築に比べて間取りの自由度は低くなりがちですので、既存状況をよく読み取りながら、変更する部分と残す部分をうまく見極めていくことが大切です。
~施工のこと~
設計段階では既存の図面と建物の現状を元に計画していますので、実際に既存部分の解体が始まると思わぬ事が発覚する事もあります。床の不陸などは仕上げ寸法にも影響してきますので、大工さんの腕の見せ所です。また、配管ルートに障害がある場合は必要最小限で避ける工夫など、施工会社の対応力に関わる部分も多いものです。こちらの現場では、現場状況を鑑みた提案をいただいたり、請負コスト以上の手間をかけていただいたりと、気持ちよくご対応いただけました。
新しい部分と古い部分が共存した、新たな住まいに生まれ変わりました。子世帯では、自分が育った場所が形を変え、またそこに住まい、そこで自分の子供も育っていく。 親世帯では、新たな家族を伴って戻ってきた子供とまた新たな生活が始まります。住まいと生活それぞれが、少しづつ形を変えながら循環していく二世帯住宅っていいものですね。
~その他写真~
- 親世帯~リビング既存障子活用
- 親世帯~ダイニング既存ドア活用
- 親世帯~キッチン
- 子世帯~収納スペース
- 子世帯~内部廊下も明るく
- 子世帯~屋上階段の書棚
~既存内部写真~
- 既存~リビング
- 既存~リビング
- 既存~キッチン