インスペクション

リフォームや中古物件を購入する前に、まずは既存建物がどのような状態なのかを知ることが大切です。内外装など目に見える部分だけではなく、構造や設備など隠れた部分の状態をよく把握した上で、計画を進めましょう。

 ■ 既存物件の不具合

  • 構造体の不具合

    耐力壁が不足したままでは、内外装を綺麗にしても地震や台風で大きなひび割れが生じたり、最悪の場合は建物自体が壊れてしまう可能性があります。
  • 雨漏れ、設備からの漏水

    漏水や湿気によって土台や柱が腐っている場合があります。とくに浴室など水回り付近は腐朽している例が多く、シロアリによる被害も多い部分です。
  • 基礎の不具合

    地盤強度に応じた基礎形状ではない場合、建物の不同沈下が生じているケースが多いです。不同沈下により、建物の床や壁に傾きが生じ、建具の開閉に不具合が生じたり、壁にひび割れが生じたりします。
  • 間取り上の不具合

    古い住宅に多く見受けられる、2階がセットバックした建物では2階床に傾斜が生じている場合があります。また、南側の開口が多い建物では、耐力壁の配置バランスの悪さから、耐震強度が不足しているケースが多いです。

 ■ ケイツーワークスのインスペクション

  • 弊社のインスペクションでは、下記の調査を行います。

    地盤 地盤種別・状態 ※1
    基礎 形状・ひび割れ・強度 ※2
    土台・床組 腐朽・劣化・傾斜 ※3
    耐力壁 耐力壁種別・位置・接合部の状態
    柱・梁 腐朽・劣化・傾斜・接合部の状態 ※3
    小屋組 腐朽・劣化・漏水・接合部の状態
    外壁・内壁 劣化・ひび割れ・漏水・傾斜 ※3
    天井 劣化・ひび割れ・漏水
    屋根 葺き材の劣化・割れ・欠損
    バルコニー 排水・漏水・防水の状態
    断熱材 種別・施工範囲
    設備配管 さび・劣化・漏水
    その他 お客様が気になさっている部分
    ※1 : 地盤調査(地耐力調査)はオプション。不同沈下が生じている場合は調査をお勧めします。
    ※2 : シュミットハンマーによりコンクリード強度を測定します。
    ※3 : レーザーレベルにより床・壁の傾斜を測定します。

 ■ インスペクションの結果について

  • 調査の結果、不具合がある場合は、設計と施工に精通した建築士が建物の使い方やお考えのリフォーム内容と照合し、先行して対処すべきもの、観察を行う程度と判断してよいものなどに分類し、優先順位を考慮した上で対処方法を提案いたします。
  • インスペクションの結果、不具合箇所が多い建物で、構造上の強度不足に原因がある可能性が高い場合は、一般耐震診断をお勧めします。

 ■ 一般耐震診断調査

  • 日本建築防災協会の「木造住宅の耐震診断」に基づいて、耐震診断調査を行います。
    耐震診断とは現行の建築基準法の考え方に準じて建物の耐震性を判断する方法です。

    <建築基準法の考え方>
    震度5強:外壁等にひび割れが生じるが、補修によって建物が使い続けられる範囲内の被害に抑える。
    震度6強:建物を倒壊させず人命を守る。被害が大きいので補修によって建物を使い続ける事は難しい。
  • 耐震診断は、上記の震度6強で建物が倒壊するか否か、の判定になります。 古い建物、とくに1981年以前の建物ではアウトの判定が出る確率が高いですが、新たに耐力壁を確保することで対処が可能です。内外装のリフォームをお考えの場合は既存下地の撤去を行う場合が多いため、それらの工事と合わせた形で耐力壁の工事を行う事で、単独で耐震改修を行う場合に比べてコストを抑えることができます。

 ■ 調査費用について

  • インスペクション : 60,000円(消費税別)
  • 一般耐震診断調査 : 60,000円(消費税別)
  • インスペクションと一般耐震診断調査の両方を行う場合は100,000円(消費税別)です。
    それぞれの調査内容に重複部分がありますので、セットにしていただく事で費用が抑えられます。

 ■ 施工について

  • インスペクション・耐震診断調査の結果、対処工事をご希望の場合は施工会社のご紹介が可能です。

    リフォーム・新築に限らずですが、同じ会社で設計と工事を行うとなると、会社としての利益確保も念頭に動くことになるため、設計通りに工事が進まない事が起こり得ます。

    弊社は建築設計事務所であり、調査・診断・設計・監理により、ユーザーの利益を守るスタンスで活動しています。そのような理由から、弊社では工事を行っておりませんので、施工会社をご紹介させていただく形になります。

    ご紹介できる施工会社は、弊社設計の新築物件・リフォーム物件の実績があり、弊社の監理で手直しなど是正工事を求めた際に真摯に対応してくれる誠実な会社です。
    ユーザー側で施工会社をお決めになっている場合は、こちらから無理に施工会社をご紹介することもありませんのでご安心ください。

  • 以下にインスペクションの様子や建物の不具合について紹介します。記事は全て当方の調査事例からの抜粋です。

調査事例

鉄筋の調査

基礎配筋調査
コンクリート基礎に鉄筋が入っているかどうか、その配筋ピッチはどれ位かをセンサーを
使って調べます。1981年以前の建物では鉄筋が入っていない場合が多いです。
無筋の場合は耐震診断の際に基礎ランクが下がり、評点も下がりますが、鉄筋が入ってい
なくても、地盤の良い場所であって現状でひび割れがなければそれ程心配する事はないと
思います。地盤の良くないところでは、ひび割れが生じているケースが多く見受けられま
すので、その程度によって段階的に、

・ひび割れ箇所の補修
・ひび割れ箇所付近の補強
・既存の基礎に抱き合わせて新たに基礎を設置する

など、状況に合わせて検討する事になりますが、上部構造の耐力壁の強さや位置も関係し
ますので、基礎のみにとらわれる事なく全体的な計画の中で、コストを抑えた改修の方向
性を考える事が大切です。

コンクリートの調査

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改修を前提とした調査では、コンクリート基礎の強度調査を行います。
コンクリート基礎の立ち上がり部分を円筒状に抜き取り、機械で潰して強度を計測する
方法によって正確な数値を把握できますが、コストもそれなりにかかりますので、ビルや
マンション等の大きな建物で採用される事が多いです。
住宅の場合は簡易な方法を使う例が多く、写真のようなテストハンマーを使い、打撃時の
反発力から強度を推定します。測定誤差を小さくするために20ヶ所の平均値を採用します。

耐震改修でコンクリート基礎と柱の根元をアンカーボルトで緊結する際に、コンクリートの
強度が低くもろい場合は、柱の引抜き力でアンカーボルトがコンクリートごと抜けてしまう
事もありますので注意が必要です。コンクリート強度が低い場合は、既存の基礎に抱き合わ
せて新たな基礎を新設する事で対処します。

柱の蟻害 2

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これも蟻害による柱の腐食(腐朽)です。ドライバー下の土台の被害は少ないのに柱だけが白アリに食われていました。
最近の建築では、大きく分けて以下のように木材の防腐、防蟻措置を施します。(住宅金融普及協会 木造住宅工事仕様書)

 1.木材自体が腐食・白アリに強いものを使う。
 2.木材に防腐、防蟻薬剤を浸透させる。(工場にて)
 3.木材に防腐、防蟻薬剤を塗布する。(現場にて)

1 の方法では土台にはヒノキやヒバ等を使いますが、素材の価格が高いのがネックです。
2 の方法は土台によく使われています。柱は室内に面する場合がありますので、薬剤の蒸散を考えると人体には好ましくないと考えられます。
3 の方法は現場の建方後に行われる事が多いため、柱下部など浸透しにくい箇所が弱点になりやすいです。また、保証期間が一般的には5年程度ですので、白アリ害の危険性がある地域・場所では再施工が必要です。

柱の蟻害

柱の蟻害
1階床下の写真です。
写真はフラッシュで明るく見えますが、狭くて暗い床下なので懐中電灯を片手にホフク前進しながら柱や土台をドライバーで突きながら進みます。
柱の外観はそれ程ひどくは見えませんが、ドライバーを差すと抵抗なく入り、表面を除いてほぼ全断面が蟻害で空洞化しています。
柱左側の隅に沿って泥土のような細い筋が昇っているのが白アリの蟻道です。このケースでは階段裏部分のため、柱の取り換えに際しては階段の撤去復旧も伴います。

柱の腐食

柱の腐食
浴室出入り口部分の柱の腐食です。
土台の四角い穴は柱を差すホゾ穴で、柱の根元の半分以上が腐食してなくなっているのが分かります。
古い物件では水回りの構造体がこのようになっているケースが少なくありません。
この場合は、浴室からの漏水や湿気による腐朽菌と、そのような木の状態を好む白アリの蟻害が原因です。
漏水箇所の手直しと土台・柱を交換する事で対応可能です。もちろん、合わせて白アリ駆除も必要です。

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